こんにちは。
寒暖差に体調管理が難しく感じられますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
Takiya Art Museumで開催中の「特別展示 侍」も残すところ2週あまりとなりました。
展示の中から重要美術品初代土屋安親(つちや やすちか/1670~1744)作
『橋杭に芦雁図鐔(はしぐいにろがんずつば)』についてご紹介いたします。
ただ今Museumでは裏面の「安親」の字面を展示をさせていただいております。
展示をご覧頂いた方は、この鍔と「橋杭に芦雁」がつながらなかったかもしれませんので、
以下解説文とともにお楽しみください。
「古びた橋杭をバックにして、それに浅い鋤出彫(すきだしぼり)で
左手前に芦の茂みを見せ、右上に三羽の雁を配してある。
裏には安親の二字を篆書体で印銘風に、鍔一面に同じく鋤出彫とし、
これに金の摺りつけ象嵌を施してある。
当時としては誠に斬新奇抜な図柄であり、
一部からは大いに賞賛され話題にもなったと思う。 」奈良三作No104より
文字をデザインに使用する事自体西洋では見られず、
とても日本的なことらしいですが、
作者である自分の名前を使用した大胆なデザインは話題になったのですね。
それ故、海野勝珉によって模刻されたのでしょうか。。
この鍔が名作として世に認められている点は、
鎹(かすがい)で止めた古い橋杭とも古板塀とも見える朽木をバックに用いた、
その構図の面白さ。その粋な渋さが、芦雁の侘しい雰囲気と見事に調和して、
一幅の名画に仕立て上げている。
そのためにこそ、見る者の眼を強く画面に引きつけて離さないのである。
その裏はこれまた豪華な金文字で飾って、見る者の度肝を抜いている。
…中略…表の図(橋杭に芦雁)を陰とすれば、裏(安親)は正しく陽と言えるもので、
この陰陽が一体となって理屈抜きで、この鍔が面白く愛鍔家の眼に映るものと思われる。奈良三作No104より
この鍔の真の面白さは、裏面にあり・・・?ということで、
いろいろと想像しながらご鑑賞いただければ幸いです。
展示は、12月1日までとなっております。
是非お見逃しの無いよう、お越しください。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。(ys)